植物育成は終わりのない探究と癒し
室内でも美しく締まったアガベの育成が可能
−−ベアルートでは育成ライトをどのように使っていますか?
ベアルートの発根管理自体は、育成ライトを使用しなくても窓からの日光程度でできます。ただ、育成ライトを使用することによって発根直後の葉の開きを比較的抑えられるため、初動がよくその後の育成形状や発展に好影響を与えます。また、これまで締まったいいアガベを育成するのに直射日光の強光が必須でしたが、アマテラスのような効果的な育成ライトを使用することで、これまで難しかった室内でも美しく締まったアガベの育成が可能となりました。
−−株のサイズによって使い分けていますか?
子株は特に成長促進させるため、灌水を多めにして、また発根、活着まで腰水などをする場合は、風を当てるのと共に光量も必要と感じます。育成ライトを使用しない場合は、やや開いて徒長ぎみに成長することが多いです。
中株、大株は基本的には同じですが、締まった株を室内で育成するには、照射距離を近めにして同時に強風を当てることでボール型や締まった株の形をキープしやすいです。
太陽光より安心安全なアマテラス照射
−−アガベを育成する上で育成ライトと太陽光の成長の違いはありますか?
真夏の炎天下以外であれば、一定の照射距離で育成した場合、複数個の使用で太陽光と変わらない効果と成長を感じられます。特に11月以降の気温が低下してくる時期にまだ成長させたい株や、発根管理において気温25度前後の室内で使用する場合は絶大な効果があり、冬季期間も育成することが可能となりました。
−−コーデックス(塊根植物)では、アマテラスやツクヨミはどのような使い方をしていますか?
ベアルート株の発根管理は、真夏の30度を超える期間以外は基本的に室内ガラス温室(30度以上)で育成・管理します。温室内の加温、風を管理しながら育成ライトを使うことで安全かつ効果的に発育を促進できます。特に未発根状態の場合、太陽光を当てすぎると、まだ水分を吸収できないため蒸発して凹んだり、慣れる前だと焼けなどにより最悪落ちたりすることもあるため、アマテラスなどを用いて発根管理するほうが安心安全で成功しています。
−−品種によって育成ライトの使い方をどのように工夫していますか?
グラキリスはじめ、パキポディウム全般は太陽光が満べんなく当たらない場所や東向きなどの条件が悪い場合、枝がかなり南や西側へ徒長するため、外管理の場合は南向きや西日が当たる好条件が理想で求められます。
その点、アマテラスで育成した場合、複数個で適正な距離で照射すれば、徒長や葉焼けすることなく、リスクヘッジしながら安全に発根管理をすることが可能となります。
パキプスに関しては、温室内照射で未発根状態から発根に成功して育成段階に入った場合、外管理移行は慣らすまでが難しく、特に新枝は太陽光に負けて枯れる可能性が非常に高いです。
その点アマテラスならそのまま新枝や葉が落ち着くまで温室内で安全にきれいに育成することが可能です。真上から1個ではなく、2、3個で全方向から照射すると展開した枝も本来の伸びる方向へ均等に伸ばすことができます。すぐに葉焼けする発根したてのパキプスの葉は、育成ライトでの管理のほうがベストと言えます。
また、室内管理に移行する12月から外管理する3月までの4カ月間は、室内で育成と同時に徒長を抑えながら、外管理時期よりも太陽光に近い光の質を多くの時間当てられるため、植物も映えて飽きずに鑑賞することができます。
−−コーデックスを育成する上で育成ライトと太陽光の違いはありますか?
発根管理の安全性や効率性、徒長防止観点では育成ライトで十分です。室内管理だけでも育成はできますが、夏型コーデックスなどは特に太陽光を一定期間当ててエネルギーチャージをしないと、休眠明けの立ち上がりが遅かったり、開花しづらかったりすることが多いです。1年を通して太陽光と(冬季期間含む)育成ライトを併用することで健康できれいなコーデックスを育成できると思います。
−−あなたにとって植物育成とは何ですか?
人生の大半を費やしてきているので、もはや趣味ではなく生活の一部でありルーティンになっています。終わりのない探究と癒しです。